ロシア、旧ソ連諸国出身のユダヤ人



1989年に「鉄のカーテン」が崩壊した後、1990年代初頭、旧ソ連 FSU(The former Soviet Union - ロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、モルドバ、エストニア、リトアニア、ラトビア、ジョージア、アルメニア、アゼルバイジャン)出身のユダヤ人が100万人以上、イスラエルへアリヤーしました。 


ロシアおよび旧ソ連諸国からの移民は、イスラエルの人口の約15%を占め、イスラエル社会に大きな影響を与えました。彼らの多くは都市部で高等教育を受けていたため、文化、科学、ハイテク、医療、教育など、さまざまな分野でイスラエル社会に貴重な貢献をしています。イスラエルの大学職員の4分の1以上がロシア語を母語とし、とくに科学分野ではその割合はさらに高くなっています。

ロシアのウクライナ侵攻により

アリヤーが約700%に急増



現在、ロシアのユダヤ人の人口は、総人口約1億4,500万人のうちおよそ20万人です。


ロシアによるウクライナ侵攻以降、旧ソ連諸国に住むユダヤ人たちは、戦争の影響で揺らぐ経済状況や不安定な国家の安全保障を背景に、これまで一生を過ごしてきた国を離れ、イスラエルへのアリヤーを希望し移動してきています


しかし、旧ソ連諸国出身のユダヤ人にとって、アリヤーする方法は決して容易ではありません。彼らはアリヤーの資格の有無を確認するイスラエル政府機関「ナティブ」との面接を受けるために、6か月以上も待たなければなりません。さらに追い打ちをかけるように、ロシアの法務省がモスクワにあるジューイッシュ・エージェンシーの解散を命じたことで同機関は業務を停止し、現在は裁判の日程を待つのみとなっています。こうした無期限に遅れるアリヤー申請をじっと待つことができないロシアのユダヤ人たちは、ユダヤ人コミュニティを通じてアリヤー可能な方法を探し、申請可能な周辺国へ大規模に移動している状況にあります。


ロシア・ウクライナ戦争の勃発以降、2022年1年間で旧ソ連諸国出身のユダヤ人62,569人がイスラエルへアリヤーしました。 これは2021年と比べて383%増となる数字です。戦争が始まって1年が経過した2023年2月には、ロシアから5,500人以上がアリヤーしており、前年と比べ637%増となっています。北方から押し寄せるこの巨大なアリヤーの波は、しばらく続くことが予想されます。


ロシア、旧ソ連出身ユダヤ人のための 

ジューイッシュ・エージェンシーの

役割と必要性



旧ソ連諸国で生まれ育った多くのユダヤ人にとって、 "ユダヤ人としてのアイデンティティ"は大きな意味を持たない、ただの空虚な言葉に過ぎません。ソビエト体制下の70年間、ユダヤ人たちは反ユダヤ主義による激しい迫害を経験しました。その結果、旧ソ連諸国出身のユダヤ人のユダヤ人としてのアイデンティティは比較的弱く、ユダヤ文化や伝統を守ることに対して恐れや消極的な態度を持つ傾向にあります。 


ジューイッシュ・エージェンシーは、旧ソ連連邦のみならず、ドイツ、北米、オーストラリア、イスラエルに居住するロシア語を話すユダヤ人を対象に、彼らを再びユダヤ人社会に結びつけるために努めています。ユダヤ人としての生活や文化を紹介するカスタマイズされた教育を提供し、彼らがアリヤーした後にも他の地域出身のユダヤ人と活発に交流し、イスラエルの地においてユダヤ人として円滑に定着できるよう支援しています。


さらに、イスラエル社会への定着において最も重要なヘブライ語教育や職業訓練を提供しています。子どもたちには学業を途切れることなく継続できるよう様々な教育機会を提供し、高齢者には適応および福祉プログラムの支援を行っています。このように各世代に応じた多様な定着プログラムへの参加機会を提供することで、新しい環境へ円滑に順応できるよう支援しています。

ロシア, 旧ソ連諸国の

ユダヤ人アリヤー費用



イスラエル・ジューイッシュ・エージェンシーとアリヤー統合省は協力して、旧ソ連系ユダヤ人のアリヤーと定着のほとんどの過程を支援しており、プロジェクト遂行に必要な予算の一部は韓国 キリスト教会からの支援によって賄われています。


ロシアおよび旧ソ連諸国からのユダヤ人1人あたりのアリヤー航空券の費用は以下の通りです。 


ロシア:770 ドル 、 300名(2025年度内)

カザフスタン:720 ドル、30名(2025年7月14日)

ウズベキスタン:720ドル、50名(2025年7月28日)

ジョージア:400ドル、30名(2025年8月中)

ラトビア:500ドル、30名(2025年度内)